溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「そんなものも運んできたのか」
「はい。ベッドは手放してしまいましたが、これだけあればとりあえずは」
いや、そういうことじゃない。
素で返ってきた言葉に心の中でツッコミを入れる。
新婚夫婦が別々に、しかも部屋まで違う場所で寝ると思ってるのか?
まぁ確かに、新婚とはいえ、強引に取りつけた関係なのは自覚している。
本物の新婚夫婦のような感覚を持ち合わせていないとしても、おかしな話ではない。
でも、それでは実際にお互い結婚した意味もよくわからない。
彼女は資金援助をしてもらえる、俺は後継者を求められているという嚙み合った条件のもと一緒になったのだから。
「いやいや、ちょっと待て。まさかここでひとりで寝るつもりなのか?」
敢えてそう訊いてみると、千尋はキョトンとした顔で「はい」と答える。
この調子だと、本当に別々に寝るつもりだったようだ。
「はいって……新婚夫婦が別々に寝るなんて有り得ないだろう」
「えっ……」
驚いたような声を出したかと思えば、見る見るうちに頬が紅潮していく。一緒のベッドで眠ることを想像したのだろうか。反応が初心でかわいすぎる。