溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


「そんな結婚生活、いずれ破綻します。だったら、千尋さんを愛している僕と一緒になったほうがあなたは幸せになれます」


 小室さんの言葉で、自分が愛されないかわいそうな人間に思えてくる。

 同時に、どうしてこんなに切ない思いが込み上げてきているのか、それに気が付いてしまった。

 私はもう、晃汰さんのことが……。

 いつの間にか特別な感情を抱いていたことに、こんなタイミングで気付く。

 どうしようもない複雑な感情がざわざわと胸を騒がせた。


「今からでも遅くない。僕と、やり直してもらえませんか?」

「ごめんなさい。それは、できないです」

「どうして? なにか障害があるなら、僕があなたをちゃんと守ります。だから、幸せになれる選択を勇気を持ってしてほしい」


 違う。私は、今ちゃんと幸せだ。

 好きな人と毎日を過ごしている。

 晃汰さんが私に対してなんの感情も持ち合わせていなくたって、私は彼のそばにいられることが幸せで……。


「私は、彼のことを想っています」

「じゃあ、ちゃんと愛されているということですか」

「それは、ないかもしれません。でも、私がそばにいたいと思っていますから」


 自分の想いをちゃんと口にしたところで、突然二の腕を掴まれる。

 急なことに驚いて肩が大きく震えた。

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