溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「……よし。いいな」
午後のスケジュールの確認をしようとスマートフォンを手に水瀬院長の元に戻ると、ちょうど手元の仕事がひと段落したようだ。
私の淹れたコーヒーに口をつけ、小さく息をつく。
その様子を目に、「あの、院長」と無意識のうちに声をかけていた。
「あの、院長。つかぬ事をお聞きしますが……」
いち男性の意見として聞いてみたい。
私から話を切り出された水瀬院長は「なんだ?」とコーヒーのカップを置きじっと私を見つめる。
「あの……院長はやはり、結婚相手には料理が得意な人を望みますか?」
口にしてみてハッとする。
寝不足とぼんやり考え事をしていたせいで、普段は口にしないことを院長相手に言っていた。
水瀬院長はカップを口に運ぶのを止め、私の顔をじっと見つめる。
「なんだ、そういう予定でもあるのか」
「あ……ちょっと、参考までに男性の意見をと、思って」
予定があるのかと訊かれたのに、これでは返答になっていない。
水瀬院長はカップを置き「んー……」と小さく唸った。