溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


「支度はどうだ?」


 自室で着替えを済ませ、メイク後に髪をセットしていると、様子を窺いに晃汰さんがドアを開けた。

 鏡越しに「もう行けます」と答える。

 入ってきた晃汰さんの装いは、今日も完璧に着こなしているスリーピース姿。

 病院には着ていかない少しオシャレなタイプのもので、ダークグレーの少し光沢の入ったものだ。

 今日は約束していたイルミネーションとクリスマスディナーに出かける日。楽しみにしていた予定だ。

 晃汰さんがきちんとした格好で出かけるとわかっていたから、私も今日は綺麗目なブラックのワンピースをチョイスした。

 妊婦用のオシャレ着はあまり着る機会はないかもしれないけれど、今日の予定が楽しみでつい購入してしまったものだ。


「今日もかわいい」


 部屋に入ってきた晃汰さんは、私の背後まできて鏡越しに私を見つめる。

 その真っすぐな視線と優しげな微笑に急に恥ずかしくなってしまった。

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