溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


「これで、ふたりで過ごす朝は最後になりますね」


 思ったことをつい口に出して、より切ない気持ちに襲われる。

 晃汰さんは瞬きを止めて私を凝視したけれど、すぐにふっと笑って微笑を浮かべた。


「なんか、別れの朝みたいなこと言うな」

「あ、ごめんなさい」


 確かに捉え方によってはそんな風に聞こえる言い方だった。晃汰さんが苦笑するのもわからなくない。


「でも、わかるよ。俺も朝、目が覚めてそう思ってた。だから、目覚める前の千尋を見てた」


 晃汰さんもしんみり同じことを思っていたのだと思うとつい、ふふっと笑ってしまう。顔を見合わせてクスクスと笑った。


「でも、今日出産するって決めているから、こんな気持ちになるんだろうな。そうじゃなかったら、陣痛がいつきて、いつお産になるかわからないわけだし、そんな感傷に浸ってる場合でもないわけで」

「確かに、そうですね。今日産むって決まっているから、こんな気持ちになるんでしょうね」


 ふたりで過ごす最後の朝。次ここに帰ってきた時は、このお腹の中にいる子と一緒なのだ。

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