溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
いやいやいや、ちょっと待って。今の話は全部なにかの冗談だよね?
ひとりきりになった院長室で、無駄にウロウロ歩き回ってしまう。
退職を申し出たら、前触れもなく妻になれと言われた。冗談にしてはきつすぎる。
結局、申し出た退職の話も曖昧なまま終わってしまった。流されたような感じだ。
明日、早めに出勤して、もう一度掛け合ってみるしかないか……。
私が突然、退職などと言い出したから、ちょっと対応に困ってふざけただけだろうとは思う。
明日もう一度話すことになるのはきっと水瀬院長もわかっているはず。一晩時間があれば、明日にはまともな話ができるだろう。
「とりあえず……帰ろ」
意味もなくひとり言を呟き、帰宅の準備に取りかかった。