溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「それなら心配いらない。お父様の会社の支援も全て請け負う」
「えっ……」
「この間の見合い相手とは、具体的に話は進んでいるのか」
「それは、まだです。母が倒れたこともあったので、落ち着いてからということになっていて」
「それなら問題ないな」
ノートパソコンをぱたりと閉じ、水瀬院長はおもむろに椅子を立ち上がる。
私が置いた退職願に一瞥をくれ、「これは預かっておく」と、デスクの引き出しの中にしまった。
「え……問題ないとは」
「縁談は断れるだろう。その相手に特別な感情が無ければの話だが」
「それは、無いですが、あの、でも、院長と私がそんな……」
話に完全に置いていかれている状態で、もうなにがなんだか混乱を極める。
しかし、それは私だけのようで、水瀬院長は仕舞った椅子の背もたれにかけていたスーツのジャケットを手に取り身につけた。
「悪いな。話の続きはまた明日以降にしよう。急用を思い出した」
「えっ、あの。でも」
「お疲れ様」
ほぼ一方的に話を終わらせ、水瀬院長は颯爽と院長室をあとにした。