溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
翌日。
普段は八時半前後に出勤するところ、今朝は八時には病院に到着。
水瀬院長のマイカーがまだ駐車場にないことを確認し、ホッと胸を撫で下ろした。
昨晩は自宅に戻ってもずっと水瀬院長とどう話の続きをするかを考えていた。
こう言われたらこう返して……なんてシミュレーションまでしたくらいだ。
昨日のようにまた有り得ない要求をされたら。慌てず落ち着いて返答をする。
私は通常に退職して、お見合い相手との縁談を進めていく。その意思をちゃんと伝えることを自分の中で再確認した。
下手に動揺してはいけない。
昨日は水瀬院長とのやり取りにも関わらず、素の自分が危うく出そうになってしまった。
とんでもないことを言われたからだけど、それにしても冷静で落ち着いた自分を保たなければならない。
院長室のエバーフレッシュに水をあげていると、入り口のドアが開く音が聞こえて手を止めた。
「おはよう」
「か、会長。おはようございます」
驚いたことに、扉の向こうから現れたのは会長である水瀬院長のお父様。
以前、私が秘書をさせていただきお世話にもなっていた方だ。