溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「どうだ。前向きに考えてみてはくれないか」
「前向きに、ですか……」
「お母様のことも聞いているよ。これまでの治療費はもちろん、今後も一切必要ない。今後も晃汰にお母様のことはしっかり経過を診ていってもらう。小野寺くんもその方が安心だろう」
母の体のことは確かにまだ不安は残る。
今後も定期的に診てもらう必要があるし、それを名医である水瀬院長にお願いできるのならそれ以上のことはない。
「母のことを、今後も診ていただけるのですか……?」
「ああ、もちろんだ」
会長はにこりと微笑み、ソファを立ち上がる。
「では、話は決まりかな。小野寺くん、改めてご両親にもご挨拶をさせていただくよ」
「あ、はい」
院長室を出ていく会長を、水瀬院長と共に見送る。
ドアが閉まると、ふたりきりになった空間で新たな緊張に包まれた。
「そうと決まれば行くぞ」
「え? 行くって、どちらにですか」
「小野寺の実家に決まってるだろ」
「えぇ!? う、うちの実家にって」
そうこうしている間にも、水瀬院長は院長室を出ていこうとする。
私に振り返り、「行くぞ」とドアノブに手をかけた。