溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
水瀬院長のプライベートカーに乗ったことはこれまでない。
車で出勤してきていることや、車種は把握している。
だけど、乗せてもらうことは……。
こんな風に普通に乗車しろと言われても、戸惑いを隠せない。
「すみません。失礼いたします」
本当に乗っていいのだろうかと思いながら助手席のシートに腰を下ろす。
水瀬院長の所有する車は、名だたる海外の高級車。
黒いボディはいつも綺麗に磨かれ、その存在感を放っている。
革張りのシートは体を心地よく包み込み、その座り心地に内心驚いていた。
「シートベルト、締めて」
落ち着かずにいるうちに、運転席に乗り込んできた水瀬院長にシートベルト着用を指示される。
「あ、はい」
慌てた手つきでシートベルトを引き出し装着した。
病院を出ると、まず水瀬院長が向かったのは駅前の高級フルーツパーラー。
そばで停車し、私を待たせたままひとりしばらく車を離れ、戻ってくると手には大きな紙袋が提げられていた。
どうやらお高いフルーツでも購入してきたと思われる。
「突然押しかけるのも失礼だからな。一応伺うことを連絡してもらえるか」
車に乗り込んできた水瀬院長は、シートベルトを装着しながらそう言う。