溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「わかりました」
返事をしながらも半信半疑。本当なのだろうかと思いながらスマートフォンを取り出す。
通話履歴から実家の番号をタップし、呼び鈴を鳴らす。
《はい、小野寺です》
電話の向こうから母親の声が聞こえてきて、何をどう話せばいいのか一瞬にして頭が真っ白になった。
「あ……私」
《どうしたのよ、こんな時間に。今日お休み?》
「いや、休みでは、ないんだけど……」
そう言いながら、車を出した水瀬院長になんとなく目を向ける。
私の視線を受けた水瀬院長は、ちらりとこちらを一瞬だけ見て小さく頷いた。
《なに、どうしたのよ》
「あのね、今から……家帰る」
《えっ、今から? どうしたの、なんかあったの?》
「人を……あの、院長を連れて行くから」
そう伝えると、電話口から《えっ!?》と驚いたリアクションが返ってくる。
当たり前だ。私だって未だに困惑したまま連絡の電話をしているのだから。