溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


 キスをされたことで全神経が晃汰さんに集中し、言われた通り瞼を閉じてしまう。

 高鳴る自分の鼓動だけを聞きながら、再び触れ合った柔らかい感触に胸がきゅっと震えた。

 本当はこんなこと受け入れがたいはずなのに、なぜだか嫌だと思う気持ちはなくされるがままになってしまう。

 少しずつ、彼に惹かれ始めているのかもしれない。

 ドッドッと音を上げる鼓動を感じながらキスを受け止め、自分に『落ち着け』と繰り返し唱える。

 やがて唇が離れていくと、晃汰さんは何事もなかったように私の頭をぽんぽんと撫で、キッチン台へと向かった。


「切ったベーコンは? 炒めるのか」

「あ、はい、そうです」


 あまりに普通に料理に戻られて、返した声が上擦る。

 壊れそうに鳴っている心臓を抱えたまま、菜箸を手に取り玉子の攪拌を再開した。

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