シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄

「はん、さすがに“女狐のマリン”の二つ名は伊達じゃないね」
「お褒めに預り光栄ですわ…さあ、次はどなたがわたくしと死のダンスを踊りますでしょうか?」

女とマリンさんの間に異常な緊張感が走る。それに釣られるように、大男がずい、と進み出た。

「ほほう、おまえみたいな小娘があの女狐のマリンか…ならば、倒せば俺の名も上がるって…ばぐうッ!?」

大男が喋ってる間にマリンさんは強烈な膝蹴りを大男の喉元にお見舞いして、さらにそのままサクッと目を潰した。

「ぐああッ!!」
「敵を前にお喋りしてる暇はないわね」

大男はマリンさんの回転蹴りをくらって吹っ飛び、そのまま男たち数人を下敷きにして気絶する。

「すごい…マリン…あっ!」

マリンの戦いの邪魔にならないように、こっそり物陰に隠れていたけど。よりによって光輝に見つかってしまった。

「おい、女ァ!そこまでだぜぇ!」

わたしにナイフを突きつけた光輝が、マリンの前に姿を現すと。マリンの動きが止まった。

「マリン、わ、わたしはいいから…逃げて!お願い!生きて…アベルさんと幸せになって!!あっ!」

バシッと頬を叩いたのは、光輝だった。

「うっせーな!なにが幸せだよぉ…ふざけやがって!」
「くるみ!待ってて…いま…あっ!」

ズギューン、と耳をつんざく音が響いて、マリンの腕から血が流れた。よく見ると、女が銃を手にしてる。

「うっ…」
「マリン!!離して…離せえ!!」

マリンが撃たれた。その衝撃でわたしは思いっきり暴れまくった。


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