シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
エピローグ

「駅前でくるみと会ったのは本当に偶然だったんだ」

ようやくわたしの部屋に戻り、ふたりきり。カイルがわたしに真実を話をしてくれる。

「オレを妨害する敵対勢力とちょっとやりあって…そのために変装していたんだ。情けないことに熱が出て倒れかけたが…誰も手を差し伸べてくれなかったが…くるみだけだった…オレを助けてくれたのは…自分も余裕がないのに……」
「まあ、ね…でも、わたしもかなり迷った。本当なら通り過ぎようとしたの。でも、捨てられた自分と重なっちゃって…」

普通なら嫌われるかもしれないけど、本心を明かした。カイルなら大丈夫とわかってるから。

「それでも、勇気を出してオレを助けてくれた。それだから、オレは最初からくるみを妃にしようと決めたんだ…だが、オレの正体を知ると変わってしまうかもしれないし、オレたちの戦いに巻き込むかもしれない…そんな懸念があったんだ」
「だから、わたしをお屋敷のなかに?」

わたしの疑問に、カイルは頷いた。

「早くから連中はきみの正体を掴んでいた。オレと関わったために…だから、連中がきみの元カレや養母に近づいて大金をエサに協力させるのはわかっていた」

そうだったんだ。
だから、ずっとわたしのそばにいて護ってくれていたんだ。

「ありがとう、カイル…ずっと護ってくれて」
「いや、くるみも勇敢だった。銃撃されそうなマリンを助けようと覆いかぶさったり…」
「し、知っていたの?」

まさか、カイルが倉庫の中の出来事を把握していたなんて。

「マリンと君には発信器と小型カメラを仕掛けておいた。きみのオレへの熱烈な告白はよかったな」
「ば、バカ!!」

あのセリフが聴かれていたかと思うと恥ずかしくなって、彼の顔をペチンと叩いた。

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