冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

角度を変えて重なってきた彼の唇は柔らかくぞくりと肌が粟立つ。

わずかな酸素を求め息を吸った直後、今度は分厚い舌が私の舌に絡んだ。

体験したことのない下半身の浮遊感とともに、甘い痺れが全身まで広がっていく。
朦朧とした意識の中、彼に従う。
駆さんの舌は私の舌を引っ張り、そのまま甘噛みした。
見たこともない野性的な姿に怖気づくとともに、さらに浮遊感は膨らんでゆく。

「はぁ、はぁ……っ」

シャツがめくりあげられブラジャーに手がかかったところで、長い指がぴたりと動きを止めた。

「ごめん」

唸るような声と共に、彼は勢いよく立ち上がった。
そのまま私に布団をかけ、こちらを振り向く。

「少し酔ってたかもしれない。本当にごめんな」

起き上がってすぐ駆さんを見つめる。
彼の顔は僅かに火照り、後悔の色を滲ませていた。

「駆さん……」

彼が部屋を出て行った後も、私はまったく動けずに息をひそめた。
心臓の音は彼に組み敷かれている時よりも、大きくなっている気がする。

(駆さんとキスしちゃった)
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