冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

その日の夜は、この家に越してきて一番長い夜だった。
カーテンとカーテンの隙間から漏れ出る月明りをぼんやり見つめる。
頭から追い出そうと思っても、駆さんの表情や体温や、唇の感触は離れていかない。
長い夜は焦りが募っていくけれど、冷めたくない夢を見てるようだった。

(私、イヤじゃなかった)

彼に触れられたとき、嫌悪感はなく自分の気持ちに正直になれた気がする。
切なそうな表情で見つめられたことも、力強く抱きしめられたことも、甘いキスをしたことも初めてで頭がついていかない。
でも、胸に残っているのは切ない気持ちと喜びだけだ。

「私、駆さんのことが好き……」
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