冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
はっきりと言い切られ、今までの固定概念が大きく揺らぐ。

(そ、そういうものなの!?)

五十嵐さんは私から距離をとると、テーブルの上に乗っていたスマホを手にもう一度視線を向けてきた。

「子供は求めていない。とりあえず契約は一年更新、無理だと思ったら離婚しよう。君、スマホ出して」

「えっ、は、はい」

勢いに押されて、ポッケからスマホを出す。
と、すぐに五十嵐さんは私の手からそれを抜き取り、ぽちぽちと画面をタップしてもう一度突き返してきた。

「五十嵐駆で登録しておいた。気持ちが決まったら連絡してくれ」

「えっ……」

「玄関まで送る」

彼はぶっきらぼうにそう言うと、床に転がっていた私のショルダーバックを拾い上げ腕を掴んでくる。
目など合わすことなく、ずんずんと廊下を突き進む彼につられ私も速足で玄関までやって来た。

「じゃ、いい返事を待っている。今日はお疲れ様」

「えっ、ちょっと」
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