冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
確かに真由子の言う通り、私は恋愛をほとんどしたことがない。
彼女にも打ち明けてないのだが、キスも未経験だ。

カッコよくて優しい人は好き。
過去に憧れている人に自分から告白して付き合ったことはあったのだけれど、一緒にいる時間が長くなって……挙句理想と現実とのギャップについて行けず自ら終わりを告げた。

(女性に嫉妬されたり、男性に束縛とか拘束されたのが、すごく苦痛だったな)

今は伊織さんを目の保養として眺めているだけで、十分幸せだ。もちろん本気で付き合いたいとかは一切思っていない。

「まぁ、真由子の言っていることも一理あるのかもしれない」

「でしょ? お互いにちゃんと思っていることを伝えて、思いやりをもって接していれば、困難は乗り越えられる!」

真由子と彼氏さんは続けて、不満は溜めないこと、なるべく食卓はいっしょに囲むこと、家事はできる方がやっておくこと、挨拶は絶対に欠かさずする……など、具体的なアドバイスをくれた。
彼らは何度も喧嘩をしてその答えに行きついたらしいから、説得力がある。

「ふたりともありがとう。結婚……いいかもね」

「はい、じゃ。そうと決まれば相談所を探しましょう」
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