冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

これでも客室乗務員なのですが。

皆さんが気になるであろう顔面は一言で言えば童顔で、美人とは程遠い。
目は大きめだけど、限りなく一重に近い奥二重。
アイプチは欠かせない。鼻は小さめで形がいいとよく言われるので、一番のお気に入りの箇所だ。
男性からは『妹』っぽいと言われる。あ……ちなみに告白されたことはありません。

身長はというとこれまた平均的な百五十八センチ、体重五十三キロとやや太め。
日課はアパートの周りをジョギングすることと図書館で読書。
特技はいかにお安く生活できるか考えること。
ここ最近の楽しみはというと、会社から配給されるご当地弁当を美味しくいただいている時。
そして一番の悩みはというと。

『終点、終点。羽田空港終点でーす』

運転手さんの声にはっとして、スマホをバックにしまう。
人の波に身をゆだねながら、予定通りの時刻にバスを降り、職場へと歩いて行く。
いつ誰がみているか分からないため、口角は上げておく。一応会社の『顔』という自覚を持てと言われているからだ。

これから約二時間後に、海を越え山を越え、はるか遠い場所にあるアメリカ・サンフランシスコ空港へと旅立つ予定だ。
現地に到着したら、ひとまず同僚やパイロットたちとご飯に行きたい。部屋で仮眠をとったらホテルにあるプールで疲れを落としショッピングに繰り出したい。
けれどなんといっても金欠だ。
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