必ず、まもると決めたから。
母の帰りは遅く、いつもだいたい夜9時過ぎになる。家で待っているのも寂しくて最寄りの駅まで迎えに来てしまうのだ。
「危ないから家で待ってなさいって怒られるんだけどね。うちは母と2人暮らしだから、夜にひとりで居ると無性に人恋しくてなるんだよね」
我が家が見えてきて、トントンと田中くんの腕を叩く。
「そこのマンションがうちなの」
「お母さんの迎えに行く時、俺に連絡して。俺が青山を駅まで送るよ」
「え?」
田中くんの一人称って"俺"なんだ…初めて知ったーーって、そうじゃない。そういうことじゃないよ。
「俺、バイトいつも8時までだから。ついでに迎えに来るよ」
田中くんのバイトがなんなのか、どこで働いているのか聞きそびれていたが、それでも分かる。絶対についでなんかじゃないでしょ?
「なんで?」
「危ないから」
お母さんと同じ台詞なのに、胸がざわつく。娘を想うそれと、同級生に女の子扱いされるそれは全然違った。