星と月と恋の話
「別に不良の溜まり場ではないわよ…。子供でもいるわよ」

「そ、そうなんですか?」

パチンコやスロットと勘違いしてるんじゃないの。

「でも、ゲームセンターって…。絶対取れない景品をチラつかせて、延々と百円玉を浪費させるんでしょう…?」

えーっと。何の話?

クレーンゲーム?クレーンゲームのこと?

君は、クレーンゲームを何だと思ってるの?

風評被害も甚だしいわよ?

「確かにクレーンゲームって、たまに悪質じゃないかと思うくらい、取れないときは取れないけど…」

って、言うほど私も、経験ないけどね。

私、クレーンゲーム下手だから。

「でも、良心的なクレーンゲームだってあるし。それに、そんなに苦手なら、そもそもクレーンゲームなんてやらなきゃ良いだけじゃない」

別に、ゲームセンターにはクレーンゲームしかない場所じゃないんだから。

苦手なら、やらなければ良いだけ。

「そ、そうですか…。分かりました」
 
「一緒に行ってくれる?」

「はい。初めての体験ですけど…行ってみます」

良かった。 

断られたらどうしようかと思ってたわ。

まぁ、別に他の場所でも良いんだけどね。

でもどうせなら、結月君にとって未体験の場所に行きたいじゃない?

「よし。じゃあ土曜日に、昼から会いましょう」

「分かりました」

じゃ、約束ね。

思えばこれが、結月君との初めての、本当のデートなのよね。

…彼氏との初デートがゲームセンターって、これは一般的なのかしら。

まぁ、楽しければ何処でも良いわよね。
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