星と月と恋の話
そんな訳で、私は二度目の結月君とのデートの為に。

まずは、結月君に声をかけてみることにした。

結月君の方からデートに誘ってくれたら、もうちょっと話は簡単なんだけど。

いや、だからって。

結月君から「夜景の見えるレストランに行こう」とか、「うちで家デートしよう」とか、そんな誘いを受けたら。

それはそれでぎょっとするから、やっぱり私の方から誘うべきなのかも。

本当奥手だよね。

結月君のこの奥手っぷりに、助けられてるんだか、困らされてるんだか。

ともかく、今回も私の方から誘ってみることにする。

私から言わなきゃ、多分永遠にデートが発生しない。

「ねぇ、結月君」

ある日の帰り道。

私は、結月君をデートに誘うことにした。

「はい、何ですか」

…しかし、あれだよね。

会話を始めるときも、大抵いつも私からだよね。

黙ってたら、延々と沈黙が続く。

こんなの、とてもお付き合いしてるカップルとは思えない。

まぁ私の場合、罰ゲームで付き合ってるだけだから、不思議じゃないのかもしれないけど…。

何考えてるか分からないんだよね、結月君って。

案外、難しいことは何も考えてないのかもしれない。

「今度デート行こうよ」

「あ、はい。またですか?」

またって。

前回行ったの、もう結構前だった気がするけど。

世の中のカップルって、どれくらいの頻度で週末デートするものなの?

カップルの仲良し度にもよるか。

その点私達は、まだまだスタートラインから一歩…踏み出したくらいかな?

まぁ、ゴールインするつもりはないから、別に良いんだけど…。

「駄目?」

「いえ、駄目じゃないですよ」

そっか、それは良かった。

ん?良かったのか?

じゃ、改めて。

「映画館行かない?」

今度は、前回と同じ失敗は犯さない。

出かけよう、じゃなくて。

何処何処に行こう、って誘う。

そうすれば、当日困ることはない。

「映画館…ですか」

と、ちょっと思案顔の結月君。

何?なんか…思うところでもあるの?
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