素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる

17 相談

「ブレンダンさんっ!」

 通信室に届け物をしに廊下を歩いている時に、アリスは自分の彼氏の同僚であるブレンダンを見つけた。整ったあまい顔立ちの長身の竜騎士は、アリスの声を聞いて、立ち止まると、微笑んだ。

「やあ、アリスさん。同じ城の中で働いているのに、会わない時は会わないね。ま、君のところに持っていく書類を独り占めにしている奴のせいもあるけどね」

 肩をすくめて冗談めかしたその言葉にふふっと笑いつつ、アリスは書類を抱きしめたまま、ブレンダンを見上げた。

「えっと、実はブレンダンさんに相談があるんですけど、今日の就業後ってお時間あります?」

「……僕に? ああ、ゴトフリーのことかな?」

 察しの良い彼の言葉に、恥ずかしそうに頷いたアリスにそうだなとすこし考えるようにすると、ブレンダンは言った。

「君の定時あたりに、交替で取る休憩をするようにするから計数室に迎えに行くよ。それで良い?」

「ありがとうございます」

 はにかんでお礼を言うアリスに、ちょっと困った顔をしながらブレンダンは言った。

「……僕と二人で会うっていうのは、どんな理由だとしても、ゴトフリーには絶対言わない方が良いよ」

 その忠告めいた言葉に、アリスは首を傾げながら頷いた。ブレンダンはその顔に苦笑しつつ、じゃあまた後でね、と手を振った。
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