素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
◇◆◇

 ブレンダンが約束通りの時間に迎えに来てくれると、一気に周囲の女性が色めきたった。遠慮がちな黄色い悲鳴も聞こえる。

 彼はこの国でも抜群に注目を集めている独身の竜騎士なんだけど、それがないとしても、その整った顔立ちは女性は放っておかないだろうと、そう思ってしまう。とにかく女性受けが良さそうな爽やかであまい顔立ちなのだ。

 そんな彼と連れ立って中庭に行くと、夕暮れの光に染まる東屋の椅子に隣同士で腰掛けた。緊張しながら、アリスはブレンダンに切り出した。

「……その、誰にも言わないでほしいの。ゴトフリーにも絶対に言わないで」

「もちろん」

 にこっと笑った顔は嘘を言っているようには思えない。そして、彼は竜騎士だ。それは竜に選ばれるくらいの高潔さを持っているという証明でもある。

 アリスはなんとかその事実を自分に言い聞かせると、弱い自分を奮い立たせてブレンダンにどうしても聞きたかった疑問をぶつけた。
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