素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる

19 興味あるの?★

「アリス、怒ってないの? 俺あんなことしたのに……」

 おずおずとした様子で、ゴトフリーは聞いた。その彼らしくない力のない様子にアリスはふふっと笑ってしまう。

 そう言って落ち込んでいる彼は、きっと普段なら絶対あんなことはしないと信じられる。今回は不用意に彼の一番して欲しくなかったことをした自分が悪かったんだと素直に思えるのだ。

「……もしゴトフリー以外の人があんなことしたら、今頃近くの騎士団詰所に駆け込んでるとこだよ」

「ん、そうだよな……」

 ぎゅっと膝の上で手を握ってゴトフリーは項垂れた。その蜂蜜色の髪の毛にアリスはキスをした。そうして、情けない顔を上げたその唇にも。

「ゴトフリーだから、許すんだよ。絶対に大丈夫ってわかってはいたけど、体が動かなかったからちょっと怖かった……その代わり、これからお仕置きするからね」

「……お仕置き?」

 その言葉に彼は首を傾げた。そう、本来ならアリスに意地悪するのは彼の役割のはずだ。でも、どうしても許して欲しいと思うのなら、それを我慢してもらう。

「あのね、私がするから、ゴトフリーは寝てて欲しいの」

 ちょっと赤くなって恥ずかしそうに言った言葉を聞いて、ゴトフリーは目を見開いた。
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