素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「彼は竜騎士だから、今でももったいないことをしたとは思ってるんだけど、私は束縛がきつくて音をあげちゃったの。あなたは長く付き合えると良いわね」

 それを聞いて、何かが吹っ切れたアリスはガタンと立ち上がって、目の前に居るキャサリンの目をまっすぐ見た。

「ゴトフリーの価値を竜騎士だからの一言で終わらせるあなたになんか、一生あの人の本当の良さはわからない。それに、ゴトフリーは私のことが本当に好きだから独占欲を出してくれるのはすごく嬉しいもの、それを他人にあれこれ言われる筋合いはないわ……それに彼は私のものなんだから、もう近づかないで」

 淡々とやり返したアリスの言葉を聞いて、不満げに鼻を鳴らすとキャサリンはそれ以上何も言わずに去っていった。

 その時に出入り口付近からヒュウっと口笛がしてそちらに目を向けると、黒い竜騎士服を着た大柄な男性の十人ほどの集団が皆こちらを見て、その中の一人を他の全員が小突いている。

「……ゴトフリー」
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