素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「俺の過去のことで、アリスに嫌な思いをさせてごめんね。あいつは俺と別れる時に二股をかけていて、それが原因で別れていたから、今更あんなことをするなんて思いもしなかった。俺には今あいつに気持ちはひとかけらも残っていないから、絶対に誤解しないで欲しいんだ」

 アリスはそれを聞いてすこし戸惑ってしまった。もちろんゴトフリーの気持ちは自分にあることは、ぜんぜん疑ってもないし、彼があのキャサリンと浮気する心配など全くしていない。でも、やっぱりエディが以前に言っていたように二股をかけられて別れていたという事実が、どうにも信じられないのだ。

 こんなに素敵な人が恋人なのに、他に目移りすることなど……有り得るのだろうか?

「うん。それは絶対しないから大丈夫だよ。でも……その、二股って……えっと、でもこの前楽しそうに話していたところも見たから、何だかそういう別れ方をしたって言うのが信じられなくて」

 アリスはゴトフリーが付き合った最初の彼氏だから、別れた人との正しい距離感もわからない。ひどい別れ方をした人でも、そんな風に話せるようになるものなのかもわからなかった。
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