素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 一度だけ入ったことのある自分の部屋の様子を覚えていてくれたゴトフリーに近付くと、その筋肉質な腕を掴んで引っ張ると一緒にベッドに腰掛けた。隣に座って自分を見上げながら、すごく嬉しそうな顔をしているアリスの顔を見て彼は満足そうにその紺色の目を細めた。

「あの時だけで覚えててくれていたの? この部屋って私の理想ぴったりだから、いつかこんな部屋に住んでみたいな……」

 全体的にピンクの色調でところどころに効果的に白と赤が入っている。本当に可愛らしくて思わず何度も見回してしまう。

「……そっか。あのね、アリス。こんな時に何なんだけど、この前のキャサリンの事を先に説明しときたいんだけど」

 あの食堂での騒ぎになった時以来、職場である城の中でしか会えなかったし、ゴトフリーの決められた勤番の関係上、帰りも時間は合わなくて完全に二人きりになったのは初めてだ。あの時からずっと説明したくてたまらなかったのか、堰を切ったようにゴトフリーは話し始めた。
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