素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 気分が悪くて自分では気が付かなかったが、体は何か食べるものを欲していたらしい。気がつくと皿いっぱいのおかゆをすべて食べていた。

 食後に飲む苦い薬を水で流し込んでから、ゆっくりと彼がまた体を寝かせてくれるとそのまますぐに眠ってしまった。

 また次に重たい瞼を開くと、枕元の灯りだけをつけてゴトフリーが真剣な顔をして本を読んでいた。不規則な時間の仕事をして忙しいはずの彼がまだ自分の傍に居てくれたことが嬉しくて、アリスはぼんやりとした視界の中夢うつつで甘えるように呟いた。

「ゴトフリー……行かないで」

 ちいさな声でそう言ったアリスが起きたことに気がつくと、愛しそうにその紺色の目を細めた。

「……大丈夫だよ。アリスが帰って良いって言うまでずっと居てあげる」

「さむいよ……ゴトフリーも一緒にねてほしい……」

 そう言ってゆっくりと手を伸ばしたアリスの願いを叶えて、ゴトフリーは隣に横になった。筋肉質で熱い大きな体に包まれてほっと息をつく。近くに大好きな彼が居てくれると思うといつの間にか安心しきって寝てしまっていた。

< 205 / 292 >

この作品をシェア

pagetop