素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 あんまり可愛いことを子供みたいな顔で言い出すから、笑いそうになるのをなんとか我慢して神妙な顔を作って真面目に頷くアリスの頬にキスをして、ゴトフリーは笑った。

「アリスはまだ寝てると良いよ。俺は買い物いくついでに、今夜も泊まるから家に一度帰って着替えだけ持ってくる」

 そう言って、アリスの体が温かい羽毛布団から出ないように気をつけて大きな体を起こした。まだ体調は万全ではないし、この家に一人になると心細いから、彼が今夜も居てくれると知って、嬉しくなる。

 ゴトフリーが残してくれた温かい熱を感じながら、もし彼が家に来てくれたら言おうと思っていたことを口にした。

「……あのね、ゴトフリー、これからもね、いっぱい泊まったりすると思うから、私の家に何枚か着替え置いといたら良いんじゃないかな」

「……良いの? 邪魔じゃない?」

 ゴトフリーは防寒着を身につけながら不思議そうに聞いた。大好きな彼の物を邪魔になんて思ったりすることなんか、絶対ないと思う。それに寂しい夜はそれを抱いて眠りたいから、持ってきてくれたら嬉しいなっていう気持ちもあったけれどそれは恥ずかしくて言えない。
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