素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 ナイジェルの顔は整っていると形容するより、ちょっと危険な雰囲気を漂わせていて、それがすごく魅力的な人だ。困ったように眉を下げると、戸惑っているアリスに言い含めるように言った。

「あのね、竜騎士になるっていうのは、人生にすべてを賭けてでもそれを成し遂げたいと願わなければ絶対になれない。幼い頃から、熾烈な競争に晒されて、常に他者と比較され続ける。それってね、どんな瞬間にも逃げ出したいくらいの重圧から逃げずに、あいつはそれを耐え抜いて勝ち抜いて、今ここに居るんだよ。世界で一番愛している君にその頑張りを認めて欲しいと思うのは、間違っていることだと思う?」

 その問いかけにどう返せばわからなくて言葉が出なくなってしまった。ただ大好きだからと浮かれて不用意に自分が言ってしまったその言葉は、彼の今までの人生を否定したことになってしまったのではないだろうか。

 ゴトフリーはきっと自分が今竜騎士であることが誇りなのだ。彼を一番にわかってあげたいと思うなら、そういう気持ちを認めてあげて応援してあげるのが愛するということなのだろうか。
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