素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 だから、そういう気持ちを持っている彼をすこしでも煽るような真似をしたくない、とそう言いたいのだろう。

「ブレンダンさんは恋人を作らないんですか?」

 アリスは話を変えるように言った。自分の人生の中で彼くらい女性にモテそうな人は知らなかった。竜騎士という職業についていなくても、その容姿でお金が稼げそうな程なのだ。きっと一目見ただけで魅了される人も多いだろう。

「……そうだね、君がゴトフリーを想うように僕を想ってくれる子が居たら、良いな。あいつが羨ましいよ……実は失恋したばかりだから、その子のことばかり考えるんだ。どんな子が告白して来てくれても、その子とどうしても比べてしまう。今は……僕は多分恋愛するべきじゃないのかもしれないな」

 そう切なそうに呟いたから、アリスは思わずその信じられない言葉を目を見開いてびっくりした。

「ブレンダンさんを振った女の子が居るんですか?」

 こんな人を振れる女の子が居るなんて信じられない。すごく贅沢なことだと思う。まじまじと自分を見つめるアリスにブレンダンは苦笑した。

「じゃあ、今アリスさんに告白したら僕と付き合ってくれる?」
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