素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 そう言った言葉に、一瞬も考えることなくううんと即座に首を振ったアリスを見て、その優しそうな焦茶色の目を細めた。

「その子も、君にとってのゴトフリーみたいに唯一の恋人が居たんだ。僕の入る隙間なんてなかった。だから、あいつがすごく羨ましいんだ。僕にもそう想ってくれる女の子が居れば良いんだけど……竜騎士をやめてでも自分が養うから大丈夫って言う子はあまりいないだろうからね」

 そう言って悪戯っぽく笑うブレンダンにアリスは顔を赤くしてしまう。仲の良い友人同士だから、当たり前なんだけど、恋人との会話を共有されているのを目の当たりにすると恥ずかしくなってしまった。

「ねえ、アリスさん。君の恋人は僕にとって、仲の良い友人でありしのぎを削るライバルでもあり戦場では互いを守り合う戦友でありそして、幼い頃から共に育った兄弟のような大事な存在なんだ。出来ればこれからも大事にしてやって欲しい。もちろん長い人生だ。色々あるだろうけど、君たちは愛し合う二人であり、実は二人だけではないんだ。周囲に居る僕たちを忘れないで……この前みたいなことにならないように、今度は絶対見つからない所でこっそり相談に乗るよ」
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