素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 自分が以前付き合っていたキャサリンが犯人であると知った時のゴトフリーの表情は忘れられない。

 過去のない人などいない。アリスは自分自身に問題があったから、今まで人と付き合ったことがなかったけれど、それは稀な例だ。だから、今のこの関係を大事にして、ずっとずっと彼と居たいと思うのだ。


◇◆◇


「ゴトフリー、もう良いでしょ。教えてよ。プレゼントって何?」

 アリスはゴトフリーの家の階段を昇りながら言った。今日は自分の誕生日だから、何かプレゼントを用意してくれているのだと言うのだけど、その内容を絶対に教えてくれなかったのだ。

「もう少しだから、我慢して。アリスが喜ぶものだよ」

 そう振り向きながら言う彼の顔がなんとも幸せそうで、アリスはきっと自分も同じような顔をしているだろうなと思いながら微笑んだ。

「良いよ。この扉を開いてみて」

 アリスは首を傾げた。ゴトフリーの部屋の隣にあるその部屋は、彼からは今物置になっていると聞いていたからだ。そっと、その扉の取っ手を掴んで開けたアリスは思わず歓声を上げた。

「ゴトフリー! どうしたの! かわいい!」
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