素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 どんどん高まっていくような、自分がどこかに行ってしまうようなそんな気がして、逃れようとする体はピンとして今までにない力が入って頭が真っ白になった。

「うっ……ふうっ……うっ……」

 初めて達してその大きすぎる快感に、自分が違う何かになってしまうような気がしてアリスは嗚咽した。

 ゴトフリーはその反応に不思議そうな顔をして口元を手の甲で拭うと、ゆっくりあやすようにして横たわったままのアリスを抱きしめた。大きな手がゆっくりと背中を撫でてくれる。

「……どうしたの? 気持ちよくなかった?」

「違うの。すごく……気持ちよかった……」

 自分の思いを、言葉にするのがとても難しかった。

 ずっと憧れていたゴトフリーと信じられないようなあまい時間を過ごしていること。身も心もぐずぐずにとかされた彼の慣れた手つきに必ずいるだろう過去の誰かの存在に嫉妬を感じていること。そして大きすぎる快感に自分は何か違うものになってしまいそうなそんな不安を感じていること。たくさんの思いが全てないまぜになって、涙になってこぼれてきた。
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