素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる

36 そうしたら(side Godfrey prequel)

「確かに受け取りました。お疲れ様です」

 そう言って彼女はかわいい笑顔を見せて書類に日付の判子を押した。大きな眼鏡をかけていてもなお際立つその可憐な顔立ちをさりげなく見て癒される。


 経費窓口の彼女は城で働く騎士たちの間では有名だ。今現在付き合っている人はいないらしいが、なんでも男嫌いで顔立ちの良いやつがどんなに誘ってものらりくらりとかわして決して乗った事がないらしい。

 よく一緒に居ることの多い親友の女官もこの城の中でも可愛いと有名で、そちらはもう近衛騎士の一人と婚約中らしいが、二人合わせてすごく目立つ存在で知られていた。

 自分が重度の面食いであることを自覚しているゴトフリーは彼女のことをかなり気になってはいたが、一年前に別れた女の子にされた仕打ちを思い出すとどうにもまた恋愛に踏み出そうという気持ちが後ろ向きになっていた。

 いや、その子だけじゃない。何故か、最初お互い惹かれて付き合い出すまでは良いのだが、その後は何か呪いにかけられているのではないかと思うくらいまったくと言って良い程恋愛が上手くいかないのだ。今まで何人かと付き合ってきたが誰とも三ヶ月と続いたためしがなかった。

 仲の良い同僚達に女運が悪いと揶揄われるのも、それを自虐して笑い話にするのも疲れてきた。
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