素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「あれー、マーシュくん。残念だけどアリスくんなら、今仮眠中だよ。ついさっきまでそこで仕事してたんだけどね。年度末だから、皆家に帰る暇も惜しくて」

「わ、本当に多忙なんですね。一応年度末の話は以前アリスからも聞いていたんですけど……今夜も泊まりこんで仕事しているって聞いて。別に何か用がある訳じゃないんです。僕もこれから何日間か遠征に行くのでその前に顔を見に来ただけなんです」

 この辺りでアリスはこれは夢じゃないな、と思い始めた。だんだんと眠りが浅くなって、近くで交わされる会話が聞こえてしまっているようだ。

「あ、そうなの? こんなに遅い時間に竜騎士も大変だね。もしよかったら寝顔だけでも見て行ったら? 寝てるけどね。一応他の人も近くで寝てるから、えっちなことは禁止だよー」

(えー、サハラ室長、何言ってんの、何言ってんの。一応未婚の妙齢女性が寝てるんだよ)

「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて」

(ゴトフリーもお言葉に甘えないでー! 嘘でしょ。お風呂も入ってるしもう化粧も落としてるんだけど)
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