素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる

12 緊急連絡先

 喉がひりついて、外気の冷たさが痛い。お腹も痛くなってきたし、いきなりの急激な運動に慣れない足がもつれる。

 でも早く、早く一刻も早く辿り着きたかった。彼の元へと続く道筋は遠いようで、向かう先に目的地は見えている。

 どんなに体が悲鳴をあげようが無視して、その白い建物を目指して、さっき城を飛び出してからずっと走り続けていた。


◇◆◇


「あれ、アリスちゃん。おはよ。仕事に来てたんだ。大変だったよね。ゴトフリーはどんな様子?」

 嵐のような年度末も終わり、やっとのことで戻ってきた平穏な時間の中、エディが書類を出しにアリスの元を訪れた。その彼が発した言葉を理解出来なくて、アリスの頭は真っ白になった。

「え……あの、ゴトフリーが、どうしたの?」

 嫌な予感がして震える声を返したアリスにエディは口を押さえると、焦った顔をした。
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