竜に選ばれし召喚士は口説き上手な外交官に恋の罠に落とされる
「はい。もちろんです。あの……じゃあ。服を脱いでから、横になってもらえますか?」

「は? ……ああ……それは、そうだよね。そうじゃないと……最後までは出来ないよね。こんなに清純な乙女に服を脱げと言われると、背徳を感じるな」

 難しい顔をしつつぶつぶつと小声で呟きながら、彼はゆっくりと服を脱ぎ始めた。

 彼の隣で目覚めた朝に見て以来だった、まるで美しい芸術品のような裸の上半身を目にして、ナトラージュは思わずほうっと大きく感嘆のため息をついた。

 黒い下着をつけたままでベッドに横になろうとしたヴァンキッシュに、ナトラージュは慌てて声をかけた。それでは、あの時の再現は出来ない。

「あのっ……下着も脱いで欲しいんですけど。そのままでは……あの時にしたことが出来ないので」

「下着も? ……思い返せば今まで盛り上がって来たところでしか、下着を脱いだ事はなかったな……僕は君みたいな可愛い女の子の前で、無意味にこれを見せつけて喜ぶような性癖は持っていない。何の盛り上がりもなく、淡々と真っ裸になるのは……流石に躊躇われるな……せめて、キスをしても良い?」

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