殺すように、愛して。
「瀬那。目隠しは、俺のタイミングで外すからね」

「あ、あ……、ん、うん……、まゆずみ、の、タイミング、で……、は、はずして……」

「すっかり目覚めちゃってるね。可愛いね、瀬那」

 言葉とは裏腹に、黛は俺の肩を踏む足に力を入れた。痛みに顔を歪めながらも、満たされなかった欲が少しずつ埋まっていくような高揚感に自然と口角が持ち上がる。黛に、踏みつけられている。黛が、踏んでいる。黛に、責められている。黛が、責めている。黛に、咎められている。黛が、咎めている。

 これから、俺は罰を、項を噛ませた罰を、黛から与えられるのだと、彼のその行動で実感した。予期した。そして、興奮した。噛ませてごめんなさい。噛ませてごめんなさい。たくさん、たくさん、謝りたい。まゆずみ。まゆずみ。噛ませてごめんなさい。噛ませてごめんなさい。俺は約束を守れなかった悪い子です。まゆずみ。まゆずみ。ごめんなさい。俺は悪い子です。悪い子には、躾を。俺は悪い子。悪い子だから、罰を。

「瀬那、また首輪、つけ忘れてるよ」

 黛は肩を踏んでいた足で、今度は俺の喉元を踏みつけた。いつもは手で絞められていた首が、足で絞められる。気管を押し潰され、呻くような掠れた声が途切れ途切れに零れ落ちた。久しぶりの息苦しさだった。苦しいのに、気持ちよかった。高揚した。死ぬか死なないか、その瀬戸際の苦痛が、快楽に変わる。黛だから、そうなってしまうのだ。まゆずみ。まゆずみ。ごめんなさい。首輪、つけてなくて。ごめんなさい。
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