Honey Trap



「里央、こっち」


駅前に着いたのは、約束の20分以上も前だった。


しばらく待っていると、5分ほどして駐輪場の方からやってきた里央を見つけて声をかける。


「おはよー、早かったね」

「おはよう。私もさっき来たところ」

「みんなはまだ?」

「うん、まだ誰も」


待ち合わせ場所に着いたのは、どうやら私が最初のようだった。


人を待たせるよりは、自分が待っている方が楽。

だから、こういう集まりの時は時間よりも早く着くようにしている。


「里央こそ早いね」

「そう?みんな、結構ギリだからね」


背の高い里央は細身のパンツがよく似合う。

シンプルな黒のスキニーに、シルエットの綺麗なスキッパーシャツを合わせる。

ボーイッシュに寄らずに、女らしさも醸し出せる彼女は実は案外ファッションに精通している。



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