Honey Trap




―――まるで芸能人の熱愛報道のようなそれは、退屈な高校生を沸かせるには充分だった。





「おはよ、美千香」


男の暴露から数日、騒ぎはすでに沈静化していた。


瞬間、瞬間で生きる高校生たちの興味なんて、所詮そんなもの。

話題は常に更新される。

流行りは消費され、廃れ、そして循環していく。


「おはよう」


いつもと変わらず里央と挨拶を交わし、日常の中に自分を置く。


目新しい刺激に溺れるより、平穏を保ちたい。


そういう部分では、里央の持つ波長は私と近いのかもしれない。

ただ里央の場合は、映画に関しては誰よりも熱くのめり込むところがあるけれど。


そこが彼女のいいところでもある。

彼女はブレないからいい。



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