社長は身代わり婚約者を溺愛する

第12話 政略結婚なんだ

気が付くと、医務室のベッドに寝ていた。

「うーん……」

起き上がると、誰かの気配がして、横を見た。

「信一郎さん……」

そこには、項垂れていた信一郎さんがいた。


「あの、信一郎さん。」

私の方を見た信一郎さんは、私の知っている信一郎さんじゃなかった。

私を疑っている目だ。

「君の、本当の名前は?」

もう潮時だと思った。

「森井礼奈です。」

「沢井芹香じゃないのか。」


信一郎さんは、天井を見ながら呆然としていた。

「何で、こんな事した?」

「こんな事って……」

「俺を騙すような事だ!」

信一郎さんの大きな声に、身体がビクつく。

「どうして!どうして、俺を騙した⁉」
< 111 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop