社長は身代わり婚約者を溺愛する
「ごめんなさい。」

声も震えていた。

「許して下さい。どうしても言えなかったの。」

「何を?」

手が涙で濡れて行く。

「私が芹香じゃないって分かったら、信一郎さんは離れて行く気がして。」


その瞬間、信一郎さんに抱きしめられた。

「どうしてそう思った?礼奈。」

「私は、芹香の友人で……あの日……」

「あの日?」

「信一郎さんとのお見合いを断って欲しいって、芹香に頼まれてお見合いの席にやってきた。」


あの時の瞬間、今でも覚えている。

信一郎さんを見た瞬間、運命の人っているんだと思った。

「そうか。芹香さんは、俺との見合いを断れと。」

「でも、私は断れなかった。」

あなたがあまりにも、魅力的で輝いていたから。

「こんな素敵な人と、今後出会う事はないだろうって、思ってしまって。」

信一郎さんは、私をぎゅっと抱きしめてくれた。

「素敵な人か……礼奈が惹かれたのは、俺の地位?お金?それとも顔?」

私は固まってしまった。

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