社長は身代わり婚約者を溺愛する
下沢君も同じ事を言っていた。

でも、信一郎さんは違った。

「もう、いいんだよ。振られたんだから。」

「礼奈……」

このタイミングで、頼んだコーヒーがやってきた。


「次の恋こそ、頑張るよ。」

芹香は、そっと微笑んだ。

「そう言えば、芹香の方は?」

芹香はコーヒーを飲むと、窓の外を見た。

「ダメだったみたい。」

「そうなの?」

「俺みたいなフリーターは、お嬢様に似合わないって。」

「……フリーターだったの?彼。」

「うん。」

私もコーヒーを一口飲んだ。


芹香の恋は、静かに終わったんだね。

私みたいに愛情がぶつかり合う事はあったんだろうか。


「芹香なら、また好きな人見つかるよ。」

「有難う。」

私達は微笑み合って、次の恋の話をした。

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