社長は身代わり婚約者を溺愛する
よく見ると、下沢さんだった。

「下沢さん!」

相手の女性は、凄く嬉しそうだ。

「ええ!手伝ってくれるんですか?」

流石は下沢さんを、アイドル扱いするだけの事はある。


「僕の森井さんを、虐めてる気がしたからね。」

一瞬、周りがシーンとする。

「僕の……?」

女性は表情を歪ませて、棚から去ってしまった。


「あーあ。仕事放棄。」

「下沢さんのせいですよ。どうしてくれるんですか。」

すると下沢さんは、私の顔を覗き込んだ。

「でも、虐められてたのは、本当でしょ。」

「違いますよ。注意されただけです。」


何か、仕事に恋愛持ち込むと、面倒くさいな。

「絶対、あの人。下沢さんの事が好きですよ。」

「関係ないよ。」

下沢さんの、真剣な目が近くにある。

「俺じゃ、ダメ?」

「何がですか?」

「彼氏になる人。」
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