社長は身代わり婚約者を溺愛する
そして、見えて来たのは……

「信一郎さん!」

私は立ち上がって、よく外を見た。

信一郎さんが、お父さんとお母さんに連れられて、こっちにやってくる。


「何やってんの?」

私が工場から出ると、お母さんが笑顔で近づいて来た。

「ああ、礼奈。この方、礼奈に用事があるみたいよ。」

「えっ……」

信一郎さんは、お母さんとお父さんにお礼を言うと、私の前にやって来た。


「礼奈、話がある。」

「って言うか、どうしてここが分かったの?」

「いろいろ調べた。」

そこまでして、会いに来てくれるなんて。

もう諦めなきゃいけないのに、期待してしまう。

「帰って。」

「礼奈。話を聞いてくれ。」

「もう話はしたじゃない!お嬢様がいいんでしょ。」

それを聞いたお父さんが、近づいて来た。

「何だ、何だ?知ってる奴か?」

私は、軽くため息をついた。

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