社長は身代わり婚約者を溺愛する
「見合いを……断ってくれ⁉」

ああ、芹香のお父さん。

本当に、何も分からないんだなぁ。


「そして私が代わりに、お見合いに行きまして……」

ああ、ここから話すのが恥ずかしい。

親の前で恋の話とか、勘弁してほしい。

「そこで、信一郎さんを好きになってしまったんです。」

「ふん。」

私の話に、芹香のお父さんは、鼻で笑った。

「確かに信一郎君のような男を見たら、誰でも好きになるな。」

信一郎さんに対しての、すごい自信。

余程、信一郎さんの事、気に入ってたのかな。


「そこで、二人で付き合いましょうって話になりまして。」

「君と?信一郎君が?」

悪かったわね。

そりゃあ、お宅の娘さんと比べれば、私なんかへでもないですけど。

「ですが、信一郎さんは私の事を、芹香だと思っていまして。」

「そりゃあそうだ。代わりだなんて、思ってないからな。」

「それで、信一郎さんは芹香さんとお付き合いしていると、勘違いしていたようです。」

話が終わり、こんな事だったら、最初から芹香さんじゃありませんって、言っておけばよかったって思った。


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