社長は身代わり婚約者を溺愛する
そして、芹香のお父さんを見て、ハッとした。

絶対、怒ってる。

「よくも、ウチの家を掻きまわしてくれたな。」

「ええー!」

「おまえが芹香の代わりにならなかったら、こんな事にはならなかった!」

「それは、そうですけど……」

でも、私は芹香に言われて、行ったんですけど!


「元々黒崎家との結婚は、政略結婚だった。資金調達にお互い納得していた。」


ー この結婚は、政略結婚なんだ -


信一郎さんも、そう言ってた。

「なのに、この結婚を破断にしやがって!慰謝料を請求する!」

「慰謝料⁉」

私とお父さんは、大声を出して驚いた。

「いくら請求するつもりだ。」

「結婚が決まれば、1億の融資が受けられるはずだった。」

「1億⁉」

そんなお金なんて、一生かかっても払いきれない。

まして、工場だって信一郎さんの融資を受けたばかりなのに。

そんなお金、どこからも出ないよ。

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