社長は身代わり婚約者を溺愛する
私は先輩に渡されたメモ紙を、下沢君に見せた。

「俺が揃えてくるから、休んでなよ。」

「あい。」

さすがは、私を好きでいるだけの事はある。

下沢君は、私を甘やかす事が得意だ。

私は近くにあった椅子に座って、窓の外を見ていた。


「そんなに元気がないって、社長との事?」

私の身体がピクッとなる。

そう言えば、信一郎さんとの仲を知っているんだよね。

「もしかして、別れた?」

嬉しそうに聞いてくる下沢君が、嫌いだ。

「別れてないけれど、別れると思う。」

「どうして?」

「あっちが、結婚するから。」

「社長が⁉」

下沢君は驚いて、棚から顔を覗かせた。

「誰と⁉」

「私の友人と。」

「何それ!ドロドロの三角関係じゃん!」

私もそう思う。
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